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社会保険未加入では受注できなくなる?

国土交通省は、平成29年度から建設業の許可業者については100%の社会保険加入を、さらには工事現場から未加入者の排除を目標として、建設業の社会保険未加入対策を強化しています。

◆建設業の社会保険加入の現状

平成23年の調査では、建設業の労働者の25%が雇用保険に未加入、約40%が健康保険、厚生年金に未加入でした。
また、建設業の中でも職種による格差、都道府県による格差が大きく、低いほうでは30%程度の加入状況で深刻な問題になっています。

建設業では多くの労働者の確保が必要ですが、受注者において社会保険料を賄いきれず、必然的に労働者の賃金が安くなるため、若年層から敬遠の動きがみられ、建設業全体で労働者の高齢化が進むと、建設業の将来をも脅かしかねない状況になります。
これを懸念した国土交通省は、厚生労働省や国民年金機構等と連携して、平成24年から段階的に取り組みを強化してきました。

雇用保険、健康保険、厚生年金といった、労働保険を含むいわゆる社会保険は、雇用保険については労働者を1人でも雇用すれば、健康保険、厚生年金保険については法人の全てが、個人でも5人以上の常用労働者がいれば強制加入となります。
しかしながら、現状において法人・個人問わず、強制加入であるはずの社会保険が、雇用者負担の増大から経営を圧迫するとして未加入が横行し、いわば無法地帯となっており、特に下請業者においてその傾向が顕著にみられます。

◆社会保険料と工事金額の関係

社会保険料は、受注者の労働者に対する法定福利費であることから、発注者と受注者の認識として請負金額に含めるべきであり、それは即ち工事金額の見積の時点から、法定福利費を算入するべきということです。
ところが、実態として利益確保の面から、元請から1次下請、2次下請と徐々に社会保険未加入が増えていきます。

発注者が受注者の社会保険料を負担しなければ、受注者の負担が増大して社会保険未加入を誘発してしまう恐れがあります。
そのため、請負金額に法定福利費を含まない契約の締結は、建設業法19条の3(不当に低い請負代金の禁止)に抵触する恐れすらあって、今後の動き次第では、違法性が現実的に問われるかもしれません。

国土交通省と業界団体との意見交換の場において、競争原理が作用する見積金額に、福利費という競争とは無関係の費用が含まれてしまうことに意見が出されており、福利費を別枠で計上する、発注者が受注者の福利費を負担する制度化、法制化の必要性も唱えられています。

◆具体的な行政庁の対応

国土交通省の取り組みがスタートしてから、既に都道府県の担当部局レベルでも、建設業を営むものについて、具体的に強化の動きがみられています。
建設業の許可においては、申請区分に関係なく、申請書類に健康保険等の加入状況(様式第20号の3)が追加されました。

社会保険未加入であることが不許可の要件とはなりませんが、未加入の場合に指導を行い、それでも加入が認められない場合は再指導をし、なお未加入であれば、労働局や年金事務所に通報されます。
同じように、事業所や工事現場の立入検査において、加入指導によっても未加入であれば通報になり、他にも建設業法第28条による監督処分(指示及び営業の停止)が検討されます。
通報を受けた労働局や年金事務所で加入指導を行いますが、未加入が改善されなければ職権で強制加入も検討されます。

また、経営事項審査では、社会保険未加入時の減点を大幅に増やし、未加入業者は競争入札で高いランクが付けられにくくなっています。
競争入札参加資格への登録の際、社会保険の加入を義務化している都道府県は既にあり、中には納付を要件として義務化している都道府県もあるため、今後はますますその動きが拡大することが予想されます。

◆元請から下請への指導も想定

下請業者の未加入率が高いことを踏まえて、元請に対しても未加入の下請に対して指導をするようにガイドラインが作られています。
下請から再下請への指導も、元請が下請を通じて再下請に対して確認・指導をできるようにするなど徹底した内容です。

決定的なのが、平成29年度以降は未加入の下請を工事現場から排除すべきとしている点です。
未加入業者を不良不適格業者として扱い、社会保険適用除外となる業者以外を全て建設業から締め出す方向で、元請への指導が開始されます。

◆今後はどうなっていくのか

少なくとも国土交通省は、かなり本気で建設業の社会保険未加入問題に取り組む姿勢をみせており、各行政庁や関係機関の協力によって、実務においては徐々に未加入業者の排除が進んできました。
制度化・法制化の段階まで進むには時間が掛かるとしても、やがては未加入の下請を使うこと自体が法令違反になる可能性はあり、大きな影響は避けられません。

零細企業も多い建設業の下請業界にとって、この方策は事業の存続を脅かしますが、法定福利費が請負金額に含まれる、または別計上となるのであれば、負担増は少ないかもしれません。
一方、民間の発注者にとっては建設費の増大が避けられず、従来は雇用者負担であった社会保険料に対しての考え方の転換が、どこまで浸透していくか注目されるところです。